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所得控除

Q1:所得控除のあらましについて教えてください

所得控除のあらまし

所得税法では所得控除の制度を設けています。これは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。
それぞれの所得控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引きます。所得税額は、その残りの金額を基礎として計算されます。
所得控除の種類は次のとおりです。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除(この控除は女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。)、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
このうち基礎控除の額は38万円です。
なお、日本国内に住所などがない、いわゆる非居住者の場合の所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の三つです。

(所法2、72~79、81~84、86、165)

アンカー 1

Q2:寄付金控除について教えてください

寄付金控除の概要

納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。これを寄附金控除といいます。なお、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することができます。
(注)復興指定会社が発行した株式を取得した場合にも寄附金控除の適用を受けられる場合があります。

特定寄付金の範囲

特定寄附金とは、次のいずれかに当てはまるものをいいます。
ただし、学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの及び政治資金規正法に違反するものなどは、特定寄附金に該当しません。
1.国、地方公共団体に対する寄附金(寄附をした人に特別の利益が及ぶものと認められるもの
 を除きます。)
2.公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附
 金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの
  イ 広く一般に募集されること
  ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するため
   の支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること
3.所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科
 学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所
 得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附
 金(1及び2に該当するものを除きます。)
  なお、所得税法施行令第217条で定めるものとは、次の法人をいいます(以下、「特定公益
 増進法人」といいます。)。
  イ 独立行政法人
  ロ 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
  ハ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び
   日本赤十字社
  ニ 公益社団法人及び公益財団法人
  ホ 民法34条の規定により設立された法人のうち一定のもの及び科学技術の研究などを行う
   特定法人
    (注)旧民法法人の移行登記日の前日までに寄附した場合に限られます
  ヘ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは
   各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立さ
   れた法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
  ト 社会福祉法人
  チ 更生保護法人
4.特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その
 他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭
5.政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの(寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められ
 るもの及び政治資金規正法に違反するものを除きます。)
6.認定特定非営利法人等(いわゆる認定NPO法人等)に対する寄附金のうち、一定のもの(寄
 附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものを除きます。)
7.特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株
 式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円を限度とします。)

寄付金控除の金額

次のいずれか低い金額-2千円=寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額
  「総所得金額等」とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別
 控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に
 係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計
 額をいいます。

寄付金控除を受けるための手続

寄附金控除を受けるためには、寄附金控除に関する事項を記載した確定申告書に次の書類を添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があります。
1.寄附した団体などから交付を受けた領収書など
2.1の領収書などのほか、次に掲げる書類
 イ ”特定寄付金の範囲”3のロについては、地方独立行政法人法第6条第3項に規定する設立
  団体のその旨を証する書類の写しとして交付を受けたもの
 ロ ”特定寄付金の範囲”3のホ及びへについては、特定公益増進法人である旨の証明書の写し
 ハ ”特定寄付金の範囲”4については、特定公益信託であることの認定書の写し
 ニ ”特定寄付金の範囲”5については、選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)
  控除のための書類」
  (注)確定申告書を提出するときまでに、「寄附金(税額)控除のための書類」が間に合わな
    い場合は、「寄附金の領収書(写)」を添付して申告し、後日「寄附金(税額)控除のた
    めの書類」の送付を受けた後、速やかに税務署に提出してください。
 ホ ”特定寄付金の範囲”7については、1の領収証などに加え、以下の書類を添付する必要
  があります
   (イ)特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書
   (ロ)特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書
   (ハ)都道府県知事等が発行した特定新規中小会社に該当するものであること等の一定の事
     実の確認書
   (ニ)特定新規中小会社が発行した個人投資家が一定の同族株主等に該当しない旨の確認書
   (ホ)特定新規中小会社から交付を受けた株式異動状況明細書
   (ヘ)投資契約書の写し

(所法78、120、所令217、217の2、262、所規47の2、措法41の18、41の18の2、41の18の3、41の19、措令26の27の3、26の28、26の28の2、26の28の3、措規19の10の3、19の10の4、19の10の5、19の11)

アンカー 2

Q3:2以上の所得者がいる場合の扶養親族等の所属について

扶養控除の所属の変更

2人以上の居住者の扶養親族に該当する者をいずれの居住者の扶養親族とするかは、これらの居住者が提出するその年分の「予定納税額の減額承認申請書」、「確定申告書(期限後申告を含みます。)」、「給与所得者の扶養控除等申告書」、「従たる給与についての扶養控除等申告書」又は「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」(以下「申告書等」といいます。)に記載されたところによります。
また、いったんその申告書等により所属が定められた後でも、改めてその所属の異なる記載をした申告書等を提出することによりその所属を更に変更することはできますが、その場合には、扶養親族を増加させようとする者及び減少させようとする者全員がその所属の異なる記載をした申告書等を提出しなければなりません。
なお、この場合の申告書等には、「修正申告書」及び「更正の請求書」は含まれませんので、いずれかの居住者がいったん確定申告書を提出している場合には、扶養親族の所属の変更はできません。

設例1

【問】 夫は長男を扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出し年末調整を行っ
   ており、妻は扶養親族の記載をせずに「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出し年末調
   整を行っています。
    今年は夫が多額の医療費を支払ったため、夫が長男を扶養親族から除外する「確定申告
   書」を提出し、妻が長男を扶養親族に含める「確定申告書」を提出したいのですが、この
   ような扶養控除の所属の変更は認められますか。
【答】 扶養親族を増加させようとする者(妻)及び減少させようとする者(夫)全員が、その
   所属の変更を記載した「確定申告書」を提出すれば、扶養親族の所属の変更は認められます。

設例2

【問】 夫は長男を扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出し年末調整を行っ
   ており、妻は扶養親族の記載をせずに「確定申告書」を提出しました。
    今年は夫が多額の医療費を支払ったため、夫が長男を扶養親族から除外する「確定申告
   書」を提出し、妻が長男を扶養親族に含める「更正の請求書」を提出したいのですが、こ
   のような扶養控除の所属の変更は認められますか。
【答】 妻がいったん「確定申告書」を提出している場合には、長男について扶養親族の所属の
   変更は認められません。
    いったん誰の扶養親族となるかが定まった場合でも、その後提出する申告書等にこれと
   異なる記載をすることによってその所属を変更することができますが、扶養親族を増加さ
   せようとする妻が提出する「更正の請求書」は、この場合の申告書等には含まれませんの
   で、扶養親族の所属の変更は認められません。

   (所令219、所基通85-2)

アンカー 3
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